誰かが言わねば

~誰も本当のことを言いたがらない。誰かが言わないといけないことだから、私が言おう~

正しい移民の受け入れ方とは

厚生労働省は持続可能な社会保障制度を提示することができずにいます。その原因は厚生労働省の怠慢でも能力不足でもありません。そもそもの話として、人口が急激に減少していく中で社会保障の水準を維持する方法はありません。第二次ベビーブーム世代の女性がすでに出産適齢期を過ぎてしまった以上、今さら少子化対策を行っても人口減は防げません。少子化対策は無駄ではありませんが、今から少子化対策を行っても人口減のペースを緩めることができるだけで人口減を完全に防ぐことはできません。つまり今は「移民を受け入れるべきか否か」を議論する段階ではなく、すでに「どのように移民を受け入れればよいのか」を検討するべき状況なのです。

我々にはすでに、移民を受け入れて社会保証制度や経済規模を維持する以外の選択肢はありません。移民を受け入れずに経済が縮んでいく中で維持できる社会システムを構築するべきだと主張する人もいますが、残念ながら経済が急激に縮んでいく中で維持できる社会保障制度というのは存在しません。経済規模が縮小すれば納税者や社会保障の負担者が減り、一方で社会保証の受給者は高齢化の影響で増え続けます。すでに赤字が常態化している国家財政はさらに悪化し、いずれは破綻してしまいます。そうなる前にゆるやかに移民を受け入れ始めるしか手段はありません。

あまりにも多くの移民を受け入れてしまうと治安の悪化や民族間の対立、文化の衝突が起こってしまうのではないかと危惧する人がいますが、私も同感です。なんでもかんでも移民を受け入れる、というやり方には賛成できません。
日本人はどちらかというと頑なに自分達の文化を守ろうとする民族です。そこに頑なに自分達の文化を守ろうとする他民族を受け入れるというのは現実的ではありません。

では、移民の受け入れにはどういうやり方があるのでしょうか。
移民の話になると最初に議論されるのが高度なスキルを持った人材を移民として受け入れるという話です。しかし残念ながらこのやり方にはあまり意味がありません。なぜなら現在の日本は、高度なスキルを持った外国人をひきつけるほど魅力的な場所ではありません。もし所得税相続税を安くして財産の多い外国人や所得の高い外国人を呼び込んだとしても、そういった人達が日本に居ついてくれる保証はありません。彼等はより条件の良い国を見つけたらあっさりと出て行ってしまいます。
それに移民には移民の出生率があります。たとえば出生率3.0の地域の人々は出生率1.5の地域に移住しても、二世代目までは出生率3.0を維持するということです。アメリカ合衆国の人口がなかなか減らないのはメキシコからの不法移民の出生率が高いからだといわれています。(不法移民ですから正確な統計は存在しませんが)

受け入れる移民の第一世代が少なければ少ない程、民族間の対立や文化の衝突の規模も小さくてすむことが予測されます。将来の人口減を防ぎ、なおかつ受け入れる移民の人数をできるだけ少なくするためには、出生率の低い地域や集団からは移民を受け入れずに出生率の高い地域や集団からの移民だけを受け入れるべきでしょう。

具体的にどうやって移民を受け入れていくのかということについても、あらかじめ明確な戦略を練る必要があります。いったん受け入れた移民にやっぱり帰ってくれというわけにはいきませんから、移民の受け入れは慎重に行わなくてはいけません。大きな問題が起こらないように慎重に、たとえば試験的に少ない人数の受け入れからはじめて徐々に受け入れる人数を増やすというような工夫が必要になります。

文化の根本の部分を維持しながら移民の文化との融合を図るためには、頑なに自分達の文化を守ろうとする人達ではなく、他文化との交流や融合を受け入れることのできる人達だけを選択して受け入れていく工夫も必要になります。厳しい宗教的戒律を持っている人々や選民意識を持っている民族を受け入れることは避けるべきでしょう。
移民との間に文化的な対立や暴力的な対立が起こることはお互いにとって不幸なことです。新しい不幸を生み出さないためにはたとえ差別的と批判されても、こういう属性を持っているグループは受け入れるがこういう属性を持っているグループは受け入れないといった選択をする必要があります。移民の受け入れには「他の文化との融和に寛容で出生率が高いグループだけを選択して受け入れていく」「試験的にいくつかのグループからそれぞれ少数の人を受け入れて、問題が少ないグループだけを選んで受け入れ人数を拡大していく」といったような明確な戦略が求められます。

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